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A Theory of Knowledge and Belief Change

A Theory of Knowledge and Belief Change

水本正晴

本書は,著者が長年にわたり展開してきた信念変化の理論とそれに基づく知識概念の分析についての理論を,近年,英米で注目を集めるようになった実験哲学の文脈の中で経験的に探究し,著者の分析的研究から導き出された知識の分析に対する経験的証拠を与えるものである。 本書の前半は,2004年の科学基礎論学会で学会賞を受賞した“A Simple Nonmonotonic Logic as a Model of Belief Change”を再構築したものである。そこにおける分析によれば,知識とは現実の情報に対し単調な信念である,ということになる。これは極めて単純なものであり,「正当化」・「証拠」・「合理性」といった他の認識論的概念を使用していないのが特徴である。これは,知識概念は子供でも理解できるものであり大人の知識概念はその自然な延長となっているのではないという前提,および,認識論的概念一般は我々の他者の信念と信念変化についての直観から導かれてきたものであり信念変化概念によって分析・定義づけられねばならないという前提,とからくる。これら二つの前提は,自然主義的観点からそれぞれもっともらしいものであると言えるが,特に後者のテーゼ(認識論的概念一般は我々の信念変化についての直観から派生したものである)は今後重要なものとして認識論において注目を集めるものとなると信じている。 後半は,このようにアプリオリに導かれた知識の分析を,実際に経験的に検証する試みである。著者は,2008年度より2年間,科研費補助金(「実験哲学の立場からの知識概念の発達的研究」)を受けて市内の計7小学校24クラス約600人の児童を対象に調査を行ってきた。結論から言えば,極めて複雑ではあるが,我々の分析を経験的に支持するデータを得ることができた。このデータは本書において初めて活字の形で発表されるものとなる。本書は,したがって,本格的な実験哲学の著作として日本初のものとなると同時に,こうした独自の哲学的観点からの発達心理学的探究は世界的にも例がなく,心理学においても貴重なデータを提供し,今後の研究の一つの流れを形づくるものとなるかもしれない。もちろん認識論においても,スティッチらの文化相対主義的観点からの研究を含めても,こうした発達的関心からの同様の研究が行われたことはなく,本書の意義は疑いようのないものであると思われる。

出版社
北海道大学出版会
発売日
2011-03-17
ページ数
300ページ
ISBN
9784832903630

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