
文学は〈人間学〉だ。
人間という矛盾の塊は、どう救われていくのだろうか。 それを突き詰めて表現する「文学」を語り尽くす、二つの渾身の講演録。 佐藤泰正「文学が人生に相渉る時―文学逍遥七五年を語る」、山城むつみ「カラマーゾフの〈人間学〉」を収録。 【齢九十を超えた日本近代文学の碩学が七十五年の人生を振り返り、文学の奥義を語るというような堅苦しい厳めしさは少しもない。「両極、矛盾の塊である人間、両極のどちらも片付けない、手放さないで、それを抱えていく、人間を問い詰めていく。それが文学だ」と、口角泡を飛ばしながら繰り返し語っているのは、やはり十六歳の青年だ。だから現実にも若い人を動かすのだろう。……山城むつみ 小林秀雄が、つまり投げ捨てたというか、そこで止まったドミートリイという人物の揺れ動く矛盾そのものと、別の人物たちとの葛藤にふれて微細に分析して語って下さったのが、今日の山城さんの講演であります。それはカチェリーナとグルーシェンカという二人の女との間を巡って、ドミートリイという、あるがままの矛盾をそのままさらけだしている、ドストエフスキーの描く矛盾そのものと言っていい人物の典型ともいうべき存在の姿を実に見事に丁寧に分析してくださいました。……佐藤泰正】
- 出版社
- 笠間書院
- 発売日
- 2013-04-22
- ページ数
- 208ページ
- ISBN
- 9784305706942
