
「文芸復興」の系譜学
「文芸復興」とは、近代や今日の社会を考えるうえでの、ひとつの重要な結節点である。 戦後文学や現代文学の礎が築かれた、1935年を軸とする前後5年間に巻き起こった「文芸復興」を検証することから、近代日本の文学史自体を相対化し、見直していく。戦後文学・現代文学の読解の新たな可能性を導き出していく書。 【 「文芸復興」それ自体については、近年、再考の契機を欠いたまま、関心自体が薄れつつある。その結果、「文芸復興」というものが、よく分からない現象のようにみなされてきているように思われる。本書は、こうした研究の背景をふまえ、近代日本の「文芸復興」研究が過疎化した原因を探り、既存の文学史観から遺漏してきた要素を中心に考察することで、「文芸復興」という現象を捉え直すことを試みるものである。 考察の方法は、実証的なアプローチを基軸としながら、章を追うごとに、時代背景から作品へと徐々に視点を絞っていく形で論を運ぶ。ただし、対象とするテーマや作品ごとに、より適切な方法を選択し、考察を行う。その検証によって、近代日本文学の「分水嶺」とされながらも、「漠然とし」た現象とみなされてきた「文芸復興」を多角的に考察し、その全体像に迫っていきたい。さらにそこから、「文芸復興」期に飛躍を遂げ、戦後に大きな活躍を見せた太宰治や井伏鱒二をはじめとする、戦後文学・現代文学の読解の新たな可能性を導き出したい。……「はじめに──捨象された近代」より】
- 出版社
- 笠間書院
- 発売日
- 2015-04-11
- ページ数
- 388ページ
- ISBN
- 9784305707703
