次、何読む? nextbook.jp
ログイン

本ページはアフィリエイト広告を含みます

千島列島の植物

千島列島の植物

高橋英樹

千島列島は,全長1,200kmにも及び,全体の面積はハワイ諸島よりやや小さく,琉球諸島の7倍以上である。北日本の植物相成立を解明する上で重要な2つの移動ルート,サハリン島と千島列島の1つである。千島列島域に生育する植物学名の確定,地理分布パターンや種分化,種内変異の解明は北海道や日本の植物相を理解する上で欠かせない研究テーマである。第二次世界大戦終了まで,該当地域での植物相調査は札幌農学校や北大の研究者を中心に活発に進められ,多量の植物証拠標本が北大に蓄積されている。戦後はソ連人研究者による調査が継続され島ごとの植物相調査がさらに進められた。1990年代から千島列島地域での国際共同調査も進展している。 筆者は,戦前の植物標本の整理を進めるとともに国際共同調査に参加し,植物調査を行った。ロシア人研究者 Barkalov も20年以上にわたって調査を進め,2009年にロシア語による“Flora of the Kuril Islands”を刊行し1,400種あまりの維管束植物を報告した。しかし日本では通常使われない学名が頻繁に出てくるため,分類学専門家以外の生態・環境保全関係の研究者にとって利用するのは難しい。本書は,このBarkalov『千島列島植物誌』に対する高橋英樹『千島列島植物誌』である。北大植物研究者(宮部金吾,舘脇操)による『千島列島植物誌』の現代改訂版でもある。Barkalov 版にない特徴としては,①日ロ間で一致せず対応関係が不明な植物学名を整理・対応させ,現時点で最良と考えられる学名を採用・提示した。これにより日ロの植物分類学,生態学,環境学関係の研究者間での相互理解が進むと期待される。②戦前・戦後の日本人研究者による証拠標本や最近の調査による外来種新分布記録などに基づいて,Barkalovが報告した千島列島各島分布を追加・補正し,新たな千島列島分布表を作成した。これは将来の「北方四島」を含む千島列島全体の環境保全対策の基礎情報となる。③分類の難しいグループにおいては分類学的コメントを付し,学名採用の根拠を示した。日本の植物相の中でも特に北方系植物の学名について新しい見解を紹介している。④千島列島の景観写真,植物生態写真・植物線画,植物標本写真,主要な地名の日ロ対照表,引用文献などにより,「北方四島」を含む千島列島全体の自然を理解する上での基本資料となる。⑤コラム記事を添えることで,より多面的な千島列島理解が進むように構成を工夫した。

出版社
北海道大学出版会
発売日
2015-03-18
ページ数
602ページ
ISBN
9784832982161

詳細はこちらから

Amazonで見る

シェアする

みんなのレビュー

まだ評価がありません。

まだレビューがありません。