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幻像のアオサギが飛ぶよ

幻像のアオサギが飛ぶよ

佐原雄二

なぜアオサギは不気味になったのか? 「孤独、孤高、精悍なアオサギ」のヨーロッパ。 「火を吐く妖怪、不気味で憂鬱なアオサギ」の日本。 なぜアオサギのイメージは日本と西欧で全く異なるのか? サギの生態に魅せられたサギ博士が、古今東西の文学を渉猟して、サギ像分裂の背景を探り、人間と動物の関わりに思いをはせる。 古代日本では、サギ類は水田耕作と深くかかわり、人々から穀霊としてあがめられていた。しかし時代が下るにつれ、仏教の普及とともに霊の類は妖怪に身を落としていくが、純白で美しいシラサギ類は妖怪化を免じられ、穀霊から妖怪に変じたのは、もっぱら、夜も活動してゴイサギと混同されがちなアオサギだった。くわえて明治以降、「憂鬱で不気味なアオサギ」が近代・現代詩にさかんに登場するが、「憂鬱」イメージが付け加わるのには、「アオサギ」の「青」(blue) によるところが大きい。 一方、イギリスやフランスでサギと言えばアオサギであり、その名も「灰色のサギ」で「青」とは無縁であり、野鳥としての「精悍で孤高」のイメージを誇ってきた。このアオサギ像の決定的分裂から、詩人上田敏は、『海潮音』でフランス語原詩のアオサギを、シラサギに変えてしまった。 生物学者として長年サギの生態を研究してきた著者が、古今東西の文学や詩歌を渉猟し、そこに描かれたさまざまなサギ像を比較対照して、人間と動物の関係を深く考え、自然保護の意味を問う。

出版社
花伝社
発売日
2016-02-25
ページ数
200ページ
ISBN
9784763407672

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