伯爵夫人の出自
煙突のすすのようなモノクロの世界に、伯爵との出逢いが色彩をもたらした。漆黒の髪、黒の上着とスカートに、黒いブーツ。煙突掃除人の娘ジェマイマは伝統的な盛装で、貴族の結婚式の余興に出た。上流階級の人々に気後れしていたところ、一人の男性が声をかけてきた。見目麗しきその男性は、第15代セルボーン伯爵ロブ。結婚式に煙突掃除人とキスをすると幸せになれる――そんな言い伝えに則って彼に口づけされ、ジェマイマの胸はときめいた。一方ロブは、亡き父と祖母の奇妙な遺言に頭を痛めていた。伯爵領と莫大な資産を継ぐ条件として、父からは4週間以内の結婚を、祖母からは100日間の禁欲を命じられたが、適した相手がいないのだ。いや、待てよ。この煙突掃除人の娘を、名ばかりの妻にしたら……?透き通る白い肌と青紫の輝く瞳、そして教養と機知に富んだジェマイマこそ、完璧な伯爵夫人候補だ――煙突掃除人の娘でさえなければ。迷うロブでしたが、出逢った数日後に彼女の家を訪れ、便宜結婚を申し込みます。「結婚しても君は君、僕は僕で暮らそう」と。
- 出版社
- ハーパーコリンズ・ジャパン
- 発売日
- 2023-10-27
- ページ数
- 288ページ
- ISBN
- 9784596526564
