
半濁音に咲く花を
ケイトウ夏子詩集 行きつ戻りつする季節―― 痕跡の記憶に花びらを降らすように 【作品紹介】 揺籃期 踏切を待つ間に夜を洗う風が吹く 通り過ぎる電車に浮かぶ 方々へ別れる予定の人々は 灯台の顔をして揺れている 遮断機があがると道が生まれた 真っ直ぐに進むことをこばむ足は 敷き詰められた小石に触れる それは 未完の寄り道 いつか水底で ねむっていた時間に繋ぐ 渡れる川を横断する 遠景にころがる果実に映された、いくつもの呼びかけ 皮を剥くように 拡がるとばり 手招きする一歩手前で止めて 転写される系譜を追う 見ない人の分まで空をみている
- 出版社
- 七月堂
- 発売日
- 2025-12-15
- ページ数
- 68ページ
- ISBN
- 9784879446237
