上方落語に見る江戸明治期の社会とことば
2021年発行『上方落語にみられる待遇表現』の続編。前著では語用論的見地から待遇表現を分析することに専念したが、本書は社会言語学的な視点を取り入れ、百年前まで人々がどのように暮らしていたかという事情に踏み込んだ。 【はじめに】 ■「端書き」より 本書の内容は、前著『上方落語にみられる待遇表現』を発展させたものです。前著では日本語の待遇表現を敬語と卑尊語とに大別して体系化するという試みを打ち出しました。そこでは敬語を大きく尊敬語と謙譲語とに二分して、前者は相手を持ち上げることによって敬意を言語化し、後者は自分を下げることによって謙る意識を具現する、というように捉えました。「卑尊語」というのは敬語に対置させるという意図を持って造語した苦心作ですが、卑罵語と尊大語を無理矢理に括りました。卑罵語とは相手を卑しめ罵る言葉遣いですが、教育上は憚られるためか、言語学研究としては余り体系化されていません。しかしながら日常生活では、ごく普通に使用しています。尊大語はもっと意識されない存在で、江戸時代の侍言葉ぐらいにしか見出すことができません。前著では尊大語を定義して待遇表現として位置づけるという分析を行いました。(中略) 前著では語用論的見地から待遇表現を分析することに専念しましたが、本書は社会言語学的な視点を取り入れて、百年前まで人々がどのように暮らしていたかという事情に踏み込んでみました。
- 出版社
- くろしお出版
- 発売日
- 2025-08-01
- ISBN
- 9784801110151
