観光的なものを組みなおす : 文化・歴史・倫理の観光社会学
須藤廣, 松本健太郎, 多田治, 遠藤英樹, 濱野健, 山本朋人
本書は、従来の観光研究の座標軸をずらし、理論と現実の双方から捉え直す挑戦である。 現代において、「観光」はこれまでの意味における「観光」の枠を超え、「観光的なもの」へと拡張し、社会・文化を構成する重要な要素として躍り出ている。「観光」は以前のようには、市場的な制度や労働と余暇の枠組みに回収できない広がりを見せており、観光的なフレームワークがいまや私たちの周囲の隅々にまで入り込み、世界を「観光的なもの」へと変容させている。つまり、今日の「観光」は経済・政治・テクノロジー・社会・文化・芸術といった諸領域を横断しながら、新しい関係性や価値を生成する動的な現象なのである。 本書では、観光が社会・文化・倫理を日々「組みなおす」現実を捉えるとともに、新たな観光研究の理論を模索する。 まえがき(須藤廣) 1 「ハイパー・ポストモダン観光」という視点から 2 本書の構成 第一部 まなざしを組みなおす 第1章 現代観光における表象の重層的沈殿と攪拌ー東アジアにおける近代化遺産観光表象の形成プロセスからー(須藤廣) 第2章 ツーリズムからサイトシーイングの倫理へーマキァーネルは観光を倫理の側から読みかえたー(多田治) 第3章 観光という「希望の原理」-生の強度を形成する観光の〈遊び〉の可能性ー(遠藤英樹) 第4章 観光が社会を生み出す場面ー「境界オブジェクト」としての世界遺産「八幡製鐵所旧本事務所」と北九州地域の産業観光を事例としてー(濱野健) 第5章 位置情報ゲームが観光に与える倫理的影響ー映画『ザ・ビーチ』におけるゲーム的リアリティを考察の起点としてー(松本健太郎) 第二部 つながりを組みなおす 第6章 おぞましきもの見し人はー「官民一体」の集団的忘却と不可視のダークツーリズムー(山本朋人) 第7章 LGBTQ+ALLYの観光を通してみるアクティビズムー社会運動型ツーリズムの可能性ー(中田久美子) 第8章 民泊とオーバーツーリズムースペイン・バルセロナの社会運動ー(町田紗季子) 第9章 変わりゆくあいりん地区ーメディアによる観光の倫理問題ー(早川諒) 第三部 社会を組みなおす 第10章 地域社会における、ゆるやかな観光アクティビズム ー「西東京シティロゲイン」にみるシビックプライドと地域づくりの新しいかたちー(鹿森真祥) 第11章 ファンツーリズムが連帯や熱狂をつくるー日常と非日常を往還する「参加」のプロセスー(宮島亮) 第12章 災禍とコンテンツツーリズムー石川県七尾市「西岸駅」における巡礼ノートからー(斎藤光之介) 第13章 共鳴するメディアとしてのガイドー映画『ロスト・イン・トランスレーション』をてがかりにー(中植渚) 第14章 地域を更新するクリエイティブなアクターたちー長野県上田市におけるアクターたちの実践を事例にー(吉口克利) あとがき(松本健太郎) 執筆者紹介
- 出版社
- 公人の友社
- 発売日
- 2025-11-01
- ISBN
- 9784875559320
