
顔
ナショナル・ギャラリーのコレクションのいたるところに、顔がある。肖像画、物語画、寓意画、そして風俗画にいたるまで。絵画の中で最も直接的に訴えかけてくるのは、多くの場合、顔である。その表情が物語のドラマ全体を語ることもあるし、肖像画のモデルの性格を明らかにすることもあるだろう。顔の描かれ方は、それを描いた画家の芸術的意図と関心を如実に表わしている。しかしそれでは、いかにして顔の描写によって個性を示すことができるのであろうか。画家たちはいかにして殉教者と罪人の、農夫と詩人の顔つきを区別してきたのであろうか。私たちはいかにして顔の表情を理解するのであろうか。そして、その読解はどれほど主観に左右されているのであろうか。そして、顔の流行の変化、美の理想の多様性、肖像画家が類似性を確保しつつ性格を伝える方法といった点について、貴重な糸口を提供する。この書を読んだ後には、ナショナル・ギャラリーであれどこであれ、絵画中の顔に新しい視点から向きあい、その肖像画に込められた思想と技量の真価を理解できるようになることであろう。
- 出版社
- ありな書房
- 発売日
- 2010-02-19
- ISBN
- 9784756610096
