北里柴三郎と感染症の時代
細菌学や衛生学の分野で偉大な功績を残し、近代日本医学の父として知られる北里柴三郎。慢性伝染病であるハンセン病と結核、急性伝染病であるペストとインフルエンザ、そしてコレラやジフテリアなどに対し、北里および研究所員らはいかに向き合い、新たな知を発見しようと努めたか。現代の公衆衛生、コロナ・ワクチン、ハンセン病訴訟等と絡めつつ、そのプロセスを追いかけた日本医療社会史の到達点。 はじめに 第一章 北里柴三郎に訓導された田尻寅雄の癩病治療 一 伝染病研究所および養生園の設立 二 伝研員外助手を務めた田尻寅雄の癩病治療 三 第一次大戦が医薬品および留学生に与えた影響 四 医師会長北里の国家衛生理念にもとづく行動 五 田尻寅雄が筆記した「癩結核治療法」 六 効果の不確かな癩治療薬の続出が導いた癩患者隔離策 第一章のまとめ 第二章 慰廃園と回春病院を支援した北里柴三郎 一 浮浪癩病人を収容する慰廃園の創設 二 病院化した慰廃園に派遣された医師たち 三 リデルの救癩活動を後援する大隈重信と渋沢栄一 四 法律第一一号と宣教師による救癩事業 五 北研理事宮島幹之助が書いた「回春病院募金趣意書」 六 回春病院癩菌研究所の医師たち 第二章のまとめ 第三章 癩対策の世界的潮流から離れる日本 一 北里の癩病研究と治療実績 二 万国癩会議で語った北里の疫学調査と細菌学的研究 三 法律第一一号公布により設置された公立癩療養所 四 保健衛生調査会が聴取した公私立癩療養所長の意見 五 癩根絶をめざした「癩予防法」と無癩県運動 六 万国癩会議決議から距離を置いた日本 七 第四回万国癩会議以降の動向 第三章のまとめ 第四章 急性伝染病ペストと衛生 一 相馬事件と検疫事業における高木友枝の働き 二 評判の高い血清療法を担った北里柴三郎 三 香港で発見されたペスト菌 四 ペスト菌騒動の終結 五 台湾に渡った後藤新平を支えた面々 六 ペスト防疫および啓蒙活動に走り回る北里柴三郎 七 台湾の衛生・医育・台湾電力に尽力する高木友枝 第四章のまとめ 第五章 インフルエンザをめぐる北研と伝研の確執 一 伝研の文部省移管にみせた独立自尊の精神 二 内務省衛生局が記すインフルエンザの病原体 三 伝研長与又郎と北研志賀潔の間に起きたワクチン論争 第五章のまとめ 第六章 学用患者と済生会 一 大逆事件が生んだ済生会の救療事業 二 済生会にみる学用患者の扱いと北里院長の対応 第六章のまとめ 付 論 温泉養生の経済効果と衛生 一 患者が集中する熱海で訴えた北里の肺病対策 二 新たに認識された温泉の効用 三 伊東温泉に構えた北里別荘 四 田健治郎も望んだ伊東温泉の別荘 あとがき 索引
- 出版社
- 法政大学出版局
- 発売日
- 2024-05-27
- ページ数
- 282ページ
- ISBN
- 9784588312168
