
木頭物語
私は3歳で鎌を握り、草を刈った。 「忘れられた日本人」の田仕事、山仕事の思い出を綴る。 両親が戦争の犠牲となり、3歳で百姓の子にもらわれた著者。 常に手足を動かし、徹底的に働き続ける叔父のもと、 雨にもめげず、ハチにも刺されながら手伝いを続けてきた。 小学校の頃には、田植え、薪伐り、炭焼き、杉の植え付け、収穫など 農林業の一通りの仕事を覚えた。 高度経済成長期以前の人々の暮らしを、鮮やかに描き出す。 *著者のブログ「ジイの雑記帳」https://fujitamegumi.jugem.jp/ 一 山仕事の章 育てた木材を計測する日、緊張しながら目を光らせた 薪作り 一年間一五トン/苛酷な夏の下草刈り/木材の量を確定する「寸検」/したたる樹液の甘さでシイタケの原木を判断した/ミツマタの手伝い/炭窯造りの名人が咲かせた梅の花/「拡大造林」に忖度しなかった叔父の山/尻皮は山仕事の必需品 二 田仕事の章 「牛が痩せている家の娘は相手にするな」 一世代で一枚開いた棚田/水を導く水路と樋/「草飛ばし」と石垣の手入れ/田植えは年間最大の行事/除草も牛の世話も……人海戦術/血統書付きの「末広号」という牛/稲刈り 天候の急変に右往左往/生活に密着していた石垣/雪隠と肥担ぎ 三 遊びの章 ウナギは川にいくらでもいたのに 釣りの思い出/芋焼酎と堰干しの河原/キジの雛と小鳥の卵/首のない鶏が飛んだ/ターザンの子供たち/釘打ちとメンコ遊び/乱暴な先生へ逆襲 コラム 木頭語 四 暮らしの章 米の音を聞けば臨終でも息を吹き返した 足なか(ワラ草履)づくり/蛇と鼠の運動会/叔母の民間医療/「置き薬」のからくり/五右衛門風呂/「ヒゼン」という伝染病/サツマイモを洗う/子供のおやつスイコッポ/炭を食う兄/焚き火/電池にゆず酢/敗戦直後のシングルマザー一家/仕事後の夕食を遠慮する人/「米の音」を聞くと病から回復/家を建ててはいけない場所/遍路 五 伝説の章 今も「おぎゃあ泣き」と呼ばれ祟りのある山 平家の落人伝説の伝わる「平家なろ」/刀剣持ち帰ると蛇/蝉谷の平家屋敷と赤水谷/平家の落人の家系図/おぎゃあ泣き/争いがあった難地/大逆事件、逃亡者と密偵の死/血の池と十二弟子峠/三人入水の「オリノ」淵/お祓いをするカクヤさん/方角を見るおじいさん/カラスと人の死/雷を落とすイタチ/木を伐る狸/狸に化かされた兄/不思議なトマコ/恐怖の弁当配達と「小豆洗い」/「火の玉」の記憶/新聞が報じた「大蛇と格闘」/キュウリの祟り 六 戦争の章 「この茶碗をあげるから、命だけは助けて下さい」 戦時下、五人の兄に赤紙/「戦争に負けたぞ」/兵事係への復讐/敗戦後混乱期に戦闘帽で入学/「南洋ボケ」/毒薬のヤブ医者/ヤミ屋と密造酒/古せ芋の涙 七 人生の章 デン叔母は賭博で家屋敷と田畑を稼ぎ出した 賭博師デン叔母/首をくくった隣の「じゅうおじ」/なまけ者のT叔父/殺されかけた大男/巨漢のショウやん/兄とドイツ製カメラ/大工さん顔負けの箱眼鏡/あざみ楽団/あざみ句会/花の御礼 コラム 拡大造林政策とクマ
- 出版社
- 実生社
- 発売日
- 2026-04-25
- ページ数
- 216ページ
- ISBN
- 9784910686189