
〈南仏〉の創出 癒しの文化史
「癒し芸術」とでも呼ぶべき表象は、ナショナリズムの最盛期に発生し、「国民芸術」と並行して展開した。 プロヴァンスを中心とする南仏地方は、世界文化において特権的な場であり続けてきた。かの地を舞台とした映画・小説・旅行記・料理本に至るまで、無数の文化的アイテムが生産された。煌めく陽光、豊かな自然、素朴で開放的な人間、質量ともに豊饒な食など、時代の変化を感じさせない生活のイメージは、煩瑣な日々の生活に疲れた現代人にノスタルジックな「癒し」を与え、それが流行に結びついているといえる。癒しの〈南仏〉表象は、その起源を19世紀後半に遡ることができ、小説・演劇・映画などの領域を横断しながら、現在まで150年ほどの伝統がある。本書では、この伝統を、それがいかなる作家により、どのような社会的背景から生まれ、展開してきたかを辿り、明らかにする試論である。
- 出版社
- 彩流社
- 発売日
- 2011-01-21
- ページ数
- 160ページ
- ISBN
- 9784779115950
