
幻想の新自由主義
1980年代以降、世界を覆ってきた新自由主義。 市場原理と自由競争を重視し、「小さな政府」を掲げたその思想は、経済成長と豊かさをもたらすと期待された。しかし現実には、経済停滞、格差拡大、国家機能の低下、社会の分断を招き、多くの国で国民国家の基盤を揺るがしてきた。 本書は、ケインズ経済学とバーク的保守主義の視点から、新自由主義の思想と政策を総合的に検証する一冊である。 なぜ市場にすべてを委ねる発想は失敗したのか。 なぜ規制緩和や構造改革は期待された成果を生まなかったのか。 なぜ日本は長年にわたり新自由主義を受け入れ続けてきたのか。 世界経済の変化、日本経済の停滞、MMT(現代貨幣理論)や財政問題をめぐる論争まで視野に入れながら、新自由主義の全体像とその帰結を明らかにする。 自由を守るためにこそ国家を立て直すーー。 国家の空洞化、格差拡大、経済停滞の根源を問い直し、日本の進むべき道を考えるための本格的な新自由主義批判の書。 序 第1章 保守主義 はじめに 保守主義の基本的人間観・社会観 規律ある自由 民主主義への疑い 人間の実質的不平等、「結果の平等」イデオロギーへの批判 不平等の抑制、国家共同体 歴史的秩序としての混合経済体制 国民国家の意義 平衡感覚 第2章 新自由主義の経済思想 素描──新自由主義台頭までの歴史的経緯 新自由主義の経済思想 第3章 新自由主義の帰結 はじめに 世界経済に関して──新自由主義の帰結 日本経済に関して──新自由主義の帰結 第4章 新自由主義への批判 新自由主義の構想は実現したか 市場経済の不安定性、「市場の自動調整機能」の抽象性 裁量的な財政金融政策の必要性 「金融政策を重視し財政政策に消極的」な政策への批判 「均衡財政」の主張は無意味かつ有害 新自由主義の経済政策の意図と帰結──総需要を抑制し、経済成長率を低下させる 「効率と平等のトレードオフ」に関して 規制緩和論への批判 株主支配企業への批判 金融主導経済の危険 「グローバリゼーションの促進」への批判 輸出主導型成長戦略への批判──内需主導型成長戦略の提唱 国際労働移動は規制が必要 「小さな政府」では国民国家を守れない 進歩主義への批判 補論1 不確実性、流動性選好、有効需要の原理 補論2 マリアナ・マッツカート『企業家としての国家』読書ノート 第5章 MMTと日本の財政危機説の誤り はじめに MMTの基礎理論 日本の財政危機説の誤り さらに、いくつかの問題 結びに代えて──長期における「有効需要の原理」 第6章 なぜ日本は新自由主義を受け入れてしまったのか 「改革」はどのように語られたのか──構造改革論の言説空間 構造改革論の粗雑な論理 構造改革論を後押しした要因 単純な物語が現実を覆う──空想的世界観の魔力 終章に代えて 高市政権の誕生について
- 出版社
- 啓文社書房
- 発売日
- 2026-05-31
- ISBN
- 9784899920953