楽園 小説 伊豆の開墾と猫の哲学
時を経て、再び山百合の群生を見たのは、伊豆の山中でのことだ。伊豆は花穂子の夫の順一の母親の故郷である。義母が亡くなってから絵描きの伯父に連れられて、山百合の群生している場所を見せてもらったことがある。そこにもアゲハ蝶が舞い飛び、仕切りに蜜を吸っていた。と思うと急に姿を消して花の影にしばし休み、そしてまた突然にせわしく飛び交うのである。まさにわずかな時の間を花影に寄り添っているように見えた。順一と花穂子は花影に休むアゲハ蝶のように、伊豆の土地柄とこの伯父に惹かれ伊豆に通うようになった。
- 出版社
- コールサック社
- 発売日
- 2025-11-01
- ページ数
- 191ページ
- ISBN
- 9784864356800
