大人と子どものディスタンス
ーーー 学生時代に,自閉的な傾向のある子どもと出会い,子どもを理解するにはどうしたらいいのか,という問題に興味をもったのがこの世界に入るきっかけだった。だから,「あなたの研究テーマは?」と問われれば,「子ども理解」と当たり前のように答える生活を送ってきた。しかし,この本をまとめるにあたって,私がこれまでいろいろなところに書き散らかし公表してきた散文やコラムなどを読み返したところ,どうも,そこに一貫していつも気になっていたのは「子ども理解」ではなく,「そもそも子どもは大人の理解を超えた存在なのだ」という直感のようなものだった。 この着地点は,ネガティブ・メッセージというよりは,むしろ,子育てや教育で疲れ,不安にさいなまれている大人たちへのエールになりうるのではないかという希望をもっている。大人と子どもの間に,双方にとって適切なディスタンスをとるために,「わからない」ことを受け入れる。子どもは不用意に大人の理解を容易に飛び越えてくるものだ,と明るく構えることで,お互いにいい距離感で付き合い,相互に幸せでいられる,ということを考えてみたいのである。---
- 出版社
- ななみ書房
- 発売日
- 2025-07-10
- ページ数
- 178ページ
- ISBN
- 9784910973395
