ラヴェンダーの翳り
バラ窓の紫が胸にしみてしみて苦しかりけりノートル・ダムよ パリの暗闇のなか、 火を噴くような記憶の息遣いが聴こえる。 一瞬きらめき散乱する光のような歌声と 静かに揺れ、さざめく芳醇な香りが、 えぐるように心に沁みる。 【自選5首】 はみだしてくる蒼き香よ 唸る蜂 蝶の舞ふ声 われ呼ぶは誰そ サファイアのごとく燃えゐる眼をあげて殺めむか否、殺めてはならず あをの時代それはピカソの悲しみのきはみをきざむ闇の色なり かわきたる風かわきたる香草の影とひかりが沁みゆくわれに 天蓋よなぜ崩れしか尖塔よなぜ燃えたるかマリアよマリア
- 出版社
- 書肆侃侃房
- 発売日
- 2019-08-09
- ページ数
- 176ページ
- ISBN
- 9784863853720
