ショスタコーヴィチとスターリン
ソロモン・ヴォルコフ, 亀山郁夫, 梅津紀雄, 前田和泉, 古川哲
天才芸術家と独裁者の奇妙な「共犯」関係を暴きだす ソヴィエト社会主義時代、独裁者スターリンにたいし抵抗とも服従ともいいがたい両義的な態度をとったショスタコーヴィチ。彼が生み出した作品もまた、時にプロパガンダ風であり、時に反体制的であるような二重性を帯びていた。 著者ヴォルコフは、ショスタコーヴィチ再評価の機運をつくった前著『ショスタコーヴィチの証言』刊行四半世紀を経て、歴史的裏付けをとりつつ、独自の手法により作曲家の実像にさらに迫ろうと試みている。本書では、内面的なジレンマを抱えながらも、スターリンと直接わたりあうショスタコーヴィチを、ロシア史上の独特の人格、聖愚者(ユローディヴィ)に見立て、権力者との対峙の仕方を詳細に分析しているのである。 スターリンは冷酷な顔をもつと同時に、芸術を愛する独裁者でもあった。しかし単に芸術家を庇護したわけではなく、彼らを国家的プロパガンダに利用し、弾圧した。パステルナーク、マンデリシターム、ブルガーコフ、エイゼンシュテイン、ゴーリキー、プロコーフィエフ……同時代の芸術家との関わりのなかで、ショスタコーヴィチは全体主義と芸術の相克をどのように乗り越えようとしたのか、スリリングに描き出していく。 序文 プロローグ 皇帝と詩人 第一章 幻影と誘惑 第二章 一九三六年ーー原因と結果 第三章 一九三六年ーースフィンクスの目前で 第四章 皇帝の慈悲 第五章 戦争ーー憂慮と大勝利 第六章 一九四八年ーー「あらゆる場所に目を光らせ、敵を根絶せよ!」 第七章 断末魔の痙攣と皇帝の死 エピローグ スターリンの陰に 英語版出典註 人名解説 訳者あとがき 亀山郁夫 索引
- 出版社
- 慶應義塾大学出版会
- 発売日
- 2018-04-06
- ページ数
- 560ページ
- ISBN
- 9784766424997
