
修羅とデクノボー
哲学者による宮沢賢治の世界への案内である。初期の短歌から詩および文学、さらには書簡にまでおよぶ賢治の生涯の作品が丹念に分析・解釈され、その核心が、孤高の知を目指す「修羅」とすべてを受け容れる「デクノボー」との間の格闘の所産として捉えられる。「崇高」と「ディオニュソス」という概念を用いて賢治のコスモロジー(=宇宙観)に新たな光を当てていく著者ならではの試みによって、文学的絶頂を極めんとして「崇高」を目指した賢治の営為が、陶酔と没落の「ディオニュソス」の祭祀と不可分であったことが、すなわち賢治文学の輝きが人間の深い悲しみの受容と共にあったことが、明らかになる。著者の賢治解釈を通して読者は同時に哲学の世界にも導かれて行くことであろう。
- 出版社
- 東北大学出版会
- 発売日
- 2011-10-01
- ISBN
- 9784861631702
