旅と宗教 : くらしの中の庶民信仰
人はなぜ漂泊し、なぜ漂泊できたのか。本書は。近世から近代における漂泊する宗教者の実態を明らかにしたものである。具体的には、白山麓牛首乞食・時宗遊行上人・六十六部廻国聖・高野聖などをとりあげた。これまで、漂泊する宗教者について論究したものは、柳田国男・堀一郎をはじめいくつかあるが、いずれも為政者側の史料や地誌をもとにした抽象的なものであった。それに対し本書は聖そのものの史料や伝承を扱った。こうした漂泊する宗教者側からの視点というのは本書がほぼ初めてといえよう。本書が日本宗教史・宗教民俗学に上に示したことは、近世から近代において、漂泊する民間宗教者と、受け入れる定住者の接点に「接待」の心意があったことである。言い換えれば定住者側が、宗教者を選別し、あるいは歓待し。あるいは拒絶した。このように「旅する宗教者」の姿を史料と伝承を併用した歴史民俗学的手法により、生きいきと描いた画期的な研究書である。
- 出版社
- 慶友社
- 発売日
- 2026-02-01
- ISBN
- 9784874491799