
タカラヅカとシャンソンの時代
「結局ね、そういう不器用な姉妹が生きていたということなのよ」--96歳の現役女性歌手はそうつぶやいた。 宝塚歌劇団の第一線で活動し、退団後もシャンソン歌手や俳優として表舞台に立ち続けた姉妹、深緑夏代と千秋みつる。華やかにみえる経歴の一方で、その歩みは決して順調なことばかりではなかった。 宝塚少女歌劇団への入団、友人との別れも経験した戦時下、大役が付いていく同期や後輩との葛藤、シャンソンの歌い手や講師としての顔、深緑夏代の晩年や姉妹の関係性を、千秋みつる本人と周囲の関係者の証言から丹念に掘り下げる。 「3分間のドラマ」と評されるシャンソン。多くの人の心を動かした歌声の背景には、どのような人生があったのか。彼女たちにとって、歌とは、シャンソンとは何か。戦前から戦後、現在まで、2人の表現者の人生を追い、日本社会との交差も描く鮮やかなドラマ。風さやか、萬あきら、大原ますみ、安奈淳といった宝塚OGへの貴重な聞き書きも収める。 序章 明日という日はーー二〇二四ー二五年 第1章 私に歌ってーー一九二一ー三六年 京城の涼やかな風/夢は宝塚へ 第2章 すみれの花咲くころーー一九三五ー四二年 レッスンの日々/「深緑夏子」の誕生/『イタリヤの微笑』/みつるの夢 第3章 暗い日曜日ーー一九四二ー四五年 宝塚と戦争/乙女たちの青春/増田陽子の死/音楽コンクール/終戦 第4章 街に歌が流れていたーー一九四五ー四六年 歌劇団の再起/『ピノチオ』/『カルメン』とラインダンス/研究科一年/みつるの正義 第5章 幸運の舞踏会でーー一九四七ー五〇年 越路吹雪/東京公演/『リラの花咲く頃』/『ブギウギ巴里』/『テリブル・ガールズ』 第6章 人の気も知らないでーー一九四八ー五一年 ジェーン台風/苦悶/夏子と越路 第7章 明日は月の上でーー一九五〇-五六年 『風にそよぐ葦』/松竹移籍 第8章 異国の人ーー一九五一ー五五年 夏子の転機/『シャンソン・ド・パリ』/トローベルとダミア 第9章 はかない愛だとしてもーー一九五六ー六七年 「カミカゼ女優」と呼ばれて/妊娠 第10章 夢のなかに君がいるーー一九五五ー六六年 シャンソンブーム/真咲美岐/熱狂/魂を継ぐ者 第11章 失われたメロディーーー一九六七ー二〇〇九年 夢のシャンソニエ/別離/姉妹/夏代の死 第12章 いいえ、人生は悲しくないわーー二〇二四年 風さやか/萬あきら/大原ますみ/安奈淳 終章 生きるーー二〇〇九ー二五年 主要参考文献 あとがき
- 出版社
- 青弓社
- 発売日
- 2026-05-28
- ページ数
- 264ページ
- ISBN
- 9784787274854
