
掌の縄文
土器は博物館でガラス越しに見る史料、というのがわれわれ現代人の感覚だが、それが素手で触れられた瞬間に、史料でもなく作品でもない、生活の一部として存在する土器がまざまざと浮かび上がってくる。これまで、人類学者としての眼ももちながら写真を撮り続けてきた港千尋が、人の手に抱かれた土器をとおして、何千年も前に生きた人々の生身の感覚を伝える。 収録された土器や土偶は、主に八ヶ岳山麓にある縄文遺跡から出土した約5000年前のもの。土器に触れ被写体となった人たちは、ある人は「この飾りは触られるためにある」と感じ、ある人は「これは花器として使われたにちがいない」と感じた。土器の復元の現場では、作業する手をとおして、太古の作り手の意識がたちのぼることがある。そのよみがえりの瞬間ひとつひとつを、遺跡の風景もまじえながら、モノクロ(ダブルトーン印刷)とカラー両方で見せる。 人が素手で土器に触れている写真は、資料としてもほとんど残されていない。港千尋のテキスト「抱かれた時間」のなかでは、尖石(とがりいし)遺跡の古い資料や、岡本太郎が撮影した縄文土器など、貴重な写真を収録。また、クロード・レヴィ=ストロースが1998年にパリ日本文化会館で開かれた「縄文展(JOMON l’art Japon des orignes)」のカタログに寄せられた序文も紹介する。
- 出版社
- 羽鳥書店
- 発売日
- 2012-04-02
- ページ数
- 112ページ
- ISBN
- 9784904702321
