
都市の解剖学
視線という擬似的なメスによって、皮膚を剥がされつつある都市――本書を貫くのは、このイメージである。ここで言う皮膚とは、単なる被覆物や表層の擬人的メタファーではない。内部と外部とが互いに絶えず陥入しあい、可視的なものと不可視のものとが反転をくりかえす、撞着と葛藤のトポスである。表層の崩落は、終焉の予兆であり、あるいは凋落と頽廃の反映である。カナレットの描いたヴェネツィア、ピラネージが再現しようとした古代ローマ、……ルドゥーが不遇の晩年に夢見たユートピア、フランス革命期のアポカリプティックな建築表象、そして一九世紀文学が描きだした比喩としての腐爛の皮膚と血膿。ここで問題となるのは、建築や身体そのものではなくそのイメージである。
- 出版社
- ありな書房
- 発売日
- 2011-10-07
- ページ数
- 264ページ
- ISBN
- 9784756611192
