
増補改訳 ビキン川のほとりで
2001年に刊行された『ビキン川のほとりで』(現在品切れ中)の増補改訳版。本書のもとになっているのは,ロシア沿海州の少数民族ウデヘの元教師が,訳者・津曲の勧めで書きためたウデヘ語・ロシア語対訳の自伝原稿である。本来,言語学のテキスト資料として意図したものであるが,極東少数民族の近代の暮しぶりが活きいきと描写されており,読み物としておもしろく,また民族自身による近現代史の証言として,学術的にも他に例を見ないユニークな資料的価値を有している。感受性豊かな少年の目から見た伝統的狩猟採集民としての生活や,ソビエト時代の学校の様子,人々の暮し,そして戦争の影などが,臨場感を込めて語られており,少数民族のライフヒストリーの記録としてきわめて貴重である。ウデヘ人は,黒沢映画で有名な『デルス・ウザーラ』(V. アルセーニエフ著)にも登場する極東少数民族であり,本書のなかにも著者の父がアルセーニエフの探検に同行したというエピソードが含まれている。今回の増補版では,旧版の章立てを再構成して訳文を改訂するとともに,旧版以後の少年から青年へと成長していく過程を第2部として増補する。
- 出版社
- 北海道大学出版会
- 発売日
- 2014-04-23
- ページ数
- 352ページ
- ISBN
- 9784832933859
