
朝鮮植民者 ある明治人の生涯
祖父の語りが、植民者・日本人の生活と内面を浮き彫りにする名著の復刊。 生まれ故郷を出奔した男の目に、植民地・朝鮮は無限の可能性を秘めて映った。 3代目植民者として「京城」に生まれた孫に、この初代植民者の祖父・浦尾文蔵が赤裸々に語った波乱の生涯。 その語りが、当時の日本人の生活と内面を浮き彫りにする。 戦後80年、知られざる名著を、充実の解説を加えて装い新たに刊行。 植民主義の矛盾に囲まれて生まれ育ち苦悩するも、敗戦へと突き進む軍国主義に飲み込まれ、みずからの道を選ぶことすら困難であった三代目植民者たち。祖父にとってあたりまえの表現が、孫にとっては耐えがたい表現であったことは想像に難くない。本書は、世代の異なる植民者のあいだの緊張感をはらんでいる。 ーー松井理恵(社会学者)解説「浦尾文蔵の京城と村松武司の「京城」」より 植民地主義を克服する、と言葉で言うことはたやすい。 しかし実際には、このような一人一人の具体的な人生を参照し、記憶するしか方法はない。その有力な方法の一つとして、本書は長く読み継がれる価値がある。 ーー斎藤真理子(翻訳者)解説「後ろ暗さを正面に引き据えて」より この本の読者へ 1 朝鮮に渡る 半日本人・半朝鮮人 〈植民者の眼 1〉 西南戦争の記憶/離郷/奥村五百子/日清戦争への従軍 姉のこと/妻帯/朝鮮人蔘を商う/朝鮮人蔘 2 古き朝鮮の崩壊 植民者の野心 〈植民者の眼 2〉 礼節の国/化粧をする男性/李朝の官吏/虐げられた女性 王家の虐殺/去勢した宮廷人/木炭屋と電気鉄道 贋金をつくる/追放/玄海灘の郵便船/日露戦争・ふたたび朝鮮へ 日露戦争のあと/妻の死/厭世/再出発 3 「日韓合併」と蜂起 植民者の故郷喪失 〈植民者の眼 3〉 総督府の郵便局/再婚/反日蜂起/辞職/金貸業をはじめる 道長官と国旗/東京に遊ぶ 4 朝鮮と「満州」 地平線の植民者 〈植民者の眼 4〉 木材商となる/欧州大戦後の不景気/破産/恋/逆境にあがく 村上浪六と「おでん屋」/「満州」へ/カフェー経営 鴨緑江の筏夫/朝鮮人と中国人/朝鮮へ戻る 5 日本の破局 鞭と哀号 〈植民者の眼 5〉 軍需化する工場/「内鮮一体」のために/土着の夢 変わりはてた「内地」/消えた空想 6 追放 父の国と母の国 〈植民者の眼 6〉 無条件降伏/財産没収/総引揚げ 葬られぬ植民主義 記録ができあがるまで/歴史の補助線としての「朝鮮」 日本人植民者とフランス人コロン/奪われた「時」 キイ・ワード、「日本」と「朝鮮」/作家・小林勝の「朝鮮」 「差別」の二重性/ある朝鮮人の「創氏改名」 新たな「出会い」のために 後記 解説 浦尾文蔵の京城と村松武司の「京城」 松井理恵 後ろ暗さを正面に引き据えて 斎藤真理子 加筆・不採用・改変箇所の例
- 出版社
- 皓星社
- 発売日
- 2025-11-30
- ページ数
- 320ページ
- ISBN
- 9784774408712
