
「大東亜戦争」幻想化と「戦争責任」の精神史
戦後社会に瀰漫する欺瞞と擬態、その正体を暴く 開戦の報に国民が覚えた高揚感。そして敗戦後、その熱狂をまるで“なかったこと”のように振る舞い始めた国民。この巨大な断絶の深淵には何が横たわっているのか。「大東亜戦争」という呼称が国民に与えた幻想と、戦後の空虚な平和主義の根源にある欺瞞を解き明かし、我々が未だ直視できずにいる「戦争責任」に対峙する。 ◎目次 はじめに 序章 情念に分け入る精神史をめざして 1 本書の問題意識ーー「戦争協賛」と「戦争責任」の思想化に向けて 2 本書の分析課題と視座 3 本書で使用する史料について 第1部 「大東亜戦争」の幻影と煩悶 第一章 日米開戦の衝撃と翻弄 1 開戦の衝撃と変貌する詩人たち 2 「宣戦の詔書」の作用ーー高揚感の国民的拡がり 3 「大東亜戦争」の特性と天皇制の関涉 第二章 表現者の幻覚と煩悶ーー「真の自己」の渇望と探究 1 自我と美感の転相ーー高村光太郎 2 表現の原郷への帰還と「本当の自己」との葛藤ーー野口米次郎 3 言語表現の新境の眺望と天皇 第三章 「大東亜戦争」道義化の蹉跌 1 「国民文学」の蹉跌と「大東亜戦争」聖戦化の限界 2 「メシア国家」の幻影ーー「近代の超克」論の限界 3 「戦意高揚」戦略の限界 第四章 敗戦時における国民の擬態の前景化 1 心的空白状態の到来 2 「民主化」受容の屈曲ーー他動的「国民主権」の到来 3 死の至近化と言葉の限界効用 第2部 孤塁からの開削 第五章 「荒地」への収斂 1 「戦争体験」の特質とその思想化 2 「紙屑を捨てない」主体性ーー「何も信じない」ことを原点に 3 詩作のオントロギーーー「詩の特権性」としての「在らざるものの力」の創造 第六章 「橋上の人」の写像と射程 1 「直接性」への懐疑ーー庶民感覚と兵士の目線への不信 2 「荒地」という「可能性」--文明の蘇生に向けて 3 「橋上」からの近代批判 第七章 戦後社会の擬態の摘発 1 「深い絶望」の探求 2 バチルスとしての教説的「平和主義」に抗してーー『死の灰詩集』批判 3 病巣への肉迫 第八章 戦争責任の実効化と言語表現の新地平 1 「意味の回復」と愛への覚醒 2 金子光晴における象徴主義の刷新 3 表現のアポリアを超えて …
- 出版社
- 人文書院
- 発売日
- 2025-12-25
- ページ数
- 354ページ
- ISBN
- 9784409520970
