
異文の愉悦 狭衣物語本文研究
異文の総体を掴む。 豊かな異文を有することこそ平安時代物語の特性であり、たとえ原作者による原本文といえども異文のうちの一つでしかない。 本書では「最善本」の提示を目的とはせず、諸本の有する「本文のヴァラエティ」そのものを研究対象とし、源氏物語本文研究にも波及する重要な問題を論じる。 原本の再建を目指す従来の本文批評とは異なり、もろもろの異本を相互に位置づけることを目指した、まったく新しい本文研究。 【本書は、この、活字本の形で提供された「最善本」だけを研究対象としている現今の物語研究に対して異を唱えるものである。平安時代の著名な物語はどれも、伝来のプロセスで内容の異なる種々の異本を生み出してきた。それは平安時代物語というジャンルの重要な特性のひとつである。したがって、この特性を無視し、平安時代物語を近代の小説などと同じように取り扱う研究は、物語研究のあるべき姿ではないと私は考える。 こうした考えのもと、本書では、原本文への遡及を目的にしてきた従来の本文研究とは袂をわかち、現存するさまざまな異本の本文をどれも等しく物語本文として認めた上で、種々の異本の本文が相互にどのような関係をもっているかを考察した。……本書「はじめに」より】
- 出版社
- 笠間書院
- 発売日
- 2013-10-31
- ページ数
- 368ページ
- ISBN
- 9784305707079
