
柑橘の文化史
蜜柑を手で剥いて食べる、が当たり前でなかった時代。 柑橘という果実の変遷をたどることで、日本人の味覚や価値観の転換を捉え、生産・流通・消費が織りなす農業の近代化を描きなおす。 かつて日本の柑橘の主力は、種が多く小ぶりな「小蜜柑」であり、単なる甘味の嗜好品ではなく、未熟果を酢の代用に、皮を薬種に、あるいは儀礼や観賞用にと、熟度に応じて使い分ける多面的な存在であった。そこからどのようにして、温州蜜柑が「国民的果実」へと登り詰めたのか? 1.序論 1部 小蜜柑から温州蜜柑へ 2.近世前期における温州蜜柑普及以前の柑橘利用ー薩摩藩領を事例にー コラム1 小蜜柑の現在 3.近代移行期における温州蜜柑の普及と柑橘利用の変化ー紀北・泉州地方を事例にー コラム2 温州蜜柑の多様性 4.近代移行期における柑橘苗木の導入と寺社参詣 コラム3 現代に残る九年母 2部 温州蜜柑の普及とその影響 5.近代前期における温州蜜柑の海外輸出とネーブルオレンジの導入 コラム4 ネーブルオレンジとレモンの関係 6.近代前期における柑橘在来種の発見と武家屋敷の庭園の役割 コラム5 夏橙と甘夏の利用史 7.近代前期における蜜柑山見物にみる柑橘園に対する認識 コラム6 香酸柑橘とサンズ(ヘイベイス・ヘベス)について 3部 柑橘栽培と柑橘利用の地域的展開 8.静岡県田方郡における柑橘栽培と柑橘利用の展開ー温州蜜柑に対する認識の変化に注目してー コラム7 みかん缶詰と冷凍みかん 9.鹿児島県における柑橘栽培と柑橘利用の展開ー中国大陸・台湾産外来種の動向に注目してー コラム8 文旦の生食化と産地の変化 10.結論 あとがき 参考文献・ホームページ 索引
- 出版社
- 春風社
- 発売日
- 2026-03-20
- ページ数
- 314ページ
- ISBN
- 9784868161011
