教育が「発達障害」を作るとき
発達障害とは自閉症やADHDなどを含む概念であり、低年齢児からその特性が現れる脳機能の障害として捉えられている。だが、当事者個人ばかりに目を向けると「できなさ」や「問題行動」がクローズアップされ、心理的・医学的な支援だけがおこなわれることになる。 それに対して本書は、「発達障害は人々のやりとりのなかで作り出される」という視座から、社会や制度が「発達障害」をどう取り扱っているのか、そして当事者に寄り添う人々の日々のやりとりのなかで、子どもの行為がどのように「発達障害」と見なされていくのかを、主に教育をめぐる制度や現場のリアリティに沿って明らかにする。 幼稚園での「気になる子」、転籍や特別支援教育で生じる困難、親たちの苦悩や役割、医療機関と教育の連携ーー。フィールドワークや参与観察、インタビューなど、質的調査からこれらの事例を検証・分析して、「発達障害」と教育制度の気づきにくい関係性を浮き彫りにする。 本書の視点は、発達障害の当事者や親、教師に責任や負担を負わせるものではない。社会や制度のなかで作り出されるものとして発達障害を問い直し、障害と向き合う新たな視点を具体的に提示する。 【目次】 まえがき 北澤 毅 序 章 発達障害に対する本書のスタンス 鶴田真紀 コラム1 特別支援教育制度の基礎知識 鶴田真紀 第1章 「気になる子」の何が「気になる」のかーー発達障害と制度的思考 粕谷圭佑 第2章 「その子のため」の転籍を問い直すーー教師による児童・生徒評価の仕方に着目して 鶴宮 慶 第3章 特別支援教育がもたらす通常学級の人間関係ーーある発達障害児の小学校経験に着目して 保坂克洋 第4章 早期発見・早期支援は何をもたらすのかーー発達障害児の親の経験に着目して 越川葉子 コラム2 「発達障害児」への学習支援ーー放課後の学習支援現場から 綾部太輔 第5章 准専門家としての親ーー療育をめぐる変容 鶴田真紀 第6章 「教育と医療の連携」の「美しさ」を問い直すーー教師と医師の職業倫理の違いをめぐって 遠藤季哉 終 章 「発達障害」観再考ーー「問題の個人化」から「問題の関係化」へ 北澤 毅 あとがき 鶴田真紀
- 出版社
- 青弓社
- 発売日
- 2026-09-03
- ページ数
- 320ページ
- ISBN
- 9784787235770
