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狭衣物語論考 本文・和歌・物語史

狭衣物語論考 本文・和歌・物語史

後藤康

物語史上の傑作『狭衣物語』の形成と受容の実態を解き明かす、精緻にして斬新なアプローチの軌跡。 諸伝本入り乱れ、複雑な〈交配〉を重ねた『狭衣物語』。 それぞれの本文を吟味する手つづきを示しながら、本書は、本文、和歌史、物語史、と、三つの視座からトータルに物語を解読してゆく。変容が激しく異文が多い物語と、どう向き合い対処するのか。その方法論をも指し示す。 【そもそも、なぜ『狭衣』にのみ〈定家〉本が存在しないのか。—思うに定家は、この物語の証本を作らなかったのではなく、おそらく作れなかったのであろう。『伊勢物語』『源氏物語』と並んで後代の歌人や連歌師たちに重んじられた『狭衣物語』であってみれば、また、定家自身かなり惚れこんでいた作品だったことを思えば、当然定家本『狭衣』が残っていてもよいはずである。しかしそれがないという事実は、あの定家をもってしても校訂本を作成することが不可能なほど多様な『狭衣物語』が当時すでに生み出され、入り乱れて享受されていたことを雄弁に語っているといえよう。だとすれば、その後さらに〈改変〉の手が加わり、複雑な〈交配〉を重ね、かつ、多くの誤写誤脱箇所を抱え持つことになった諸伝本を前に、現代のわれわれが茫然と立ち尽さざるをえないのも、考えてみればしごくあたりまえの話だったのかもしれない。】……はじめにより

出版社
笠間書院
発売日
2011-12-01
ページ数
450ページ
ISBN
9784305705785

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