
大正天皇
★書評&紹介掲載情報★ 2026-05-19「サンデー毎日」評者:中野翠 2026-05-16「西日本新聞」評者:長谷部浩 2026-05-03「北海道新聞」評者:長谷部浩 2026-04-05「中日新聞」評者:長谷部浩 2026-04-04「東京新聞」評者:長谷部浩 【「大正天皇」没後100年】 明治天皇と昭和天皇という「ビッグネーム」に挟まれ、歴史の影に追いやられてきた大正天皇。 遠眼鏡事件の「ちょっと変わった天皇」くらいしか知らない──そんな私たちの常識をひっくり返す一冊。 草森紳一・平山周吉『大正天皇』(コトニ社)は、没後100年を迎える「忘れられた天皇」を、驚くほど生き生きと甦らせる。 本書に現れるのは、虚弱で政治音痴と決めつけられてきた人物ではない。 漢詩と書を自在にあやつり、人を笑わせることにかけては名人、そして時に大胆な政治判断をくだす──そんな自由な精神をもった「天才藝術家としての天皇」。 前半を担うのは、サブカルからナチス、清国、麻雀までを自在に行き来した博覧強記の物書き・草森紳一。 大正天皇の書と漢詩、伊藤博文・原敬とのやりとり、「遠眼鏡事件」などの逸話を、ユーモアと深い教養で読み替え、これまで誰も見たことのない「佯狂(狂を装う)」の君主像を描き出す。 後半では、その草森の構想を受け継いだ平山周吉が、『原敬日記』を丹念に読み解きながら、即位直後に「軍部大臣現役武官制」から「現役」の二文字を削らせた大正天皇の政治的役割、そしてもし大正の時代と原敬の政権がもっと続いていたら、日本の近代は違う道を歩みえたのではないか──という重い問いを、昭和史の視界から描き出す。 名だたる保田與重郎、棟方志功、林芙美子らが大正天皇を讃えた理由は何だったのか? なぜその評価は、近代天皇制の「盲点」として封じ込められてきたのか? 学術書ではなく、ふつうの読書人に向けて書かれた本書は、しかし資料の読み込みは徹底しており、読み物としての面白さと歴史書としての手堅さが同居している。軽んじられてきた一代の天皇を通して、明治から昭和へと続く日本近代そのものの意味が、まったく違って見えてくるはず。 「大正天皇なんて、よく知らない」そう思った方にこそ手にとってほしい一冊。 没後100年にして、天衣無縫の芸術家、そして“人間くさい”一人の天皇が、今むっくりと起き上がる。 まえがきーー「大正天皇」という盲点(平山周吉) 第一章 早くより旧派を脱し給ふーー大正天皇の「書」と漢詩(草森紳一) 第二章 大正天皇と原敬(草森紳一) 第三章 「天才」藝術家としての大正天皇(平山周吉) 第四章 「万機、余暇有り」--大正二年、帝国陸軍と大正天皇との対立(平山周吉) あとがき(平山周吉)
- 出版社
- コトニ社
- 発売日
- 2026-02-27
- ページ数
- 232ページ
- ISBN
- 9784910108254
