
鷹羽狩行の百句
◆十七音への果敢なる挑戦 菖蒲湯の沸くほどに澄みわたりけり この句は、間違いなく狩行の代表作のひとつである。浴槽に張った水はもちろん透明な美しい水であるが、それが熱せられるとともに変化が現れたというのだ。感覚的な把握かもしれないが、「沸くほどに澄みわたり」という断定には動かしがたい説得力がある。ふだんより少し熱めに沸いた湯かもしれない。新湯の鋭さを思わせ、青い菖蒲を浮かべれば、まさに切れそうな刃のようだ。好みの温度設定をした給湯設備で供給される湯では、水との違いを目で見て感じることなどないであろう「澄み」である。
- 出版社
- ふらんす堂
- 発売日
- 2018-12-31
- ISBN
- 9784781411453
