
瓜の花
◆第一句集 初蝶の森の光となりゆけり 湧き立つように現出した一つの生命体「初蝶」が心象の景へと移行した瞬間である。 懸鳥の玉虫色に光りけり 姫百合の淡き光を活けにけり 綿虫を掴めば光失へり 懸鳥の妖しさ、姫百合の華やぎ、綿虫という命の息づき……。いずれも光を伴う美的情調の極みと言えよう。久幸さんを光の魔導師だと思う所以である。 帯・谷口智行 ◆自選十二句 鶯の喉の膨らみ見えにけり 見下ろして聴く時鳥山の寺 茄子の馬手綱もかけてありにけり 能登の潮零さぬやうに栄螺焼く 海鞘を糶る津波後三年育てきて 朝刊に少女の意見鵤鳴く ほうたるやこの川に村育まれ 瓜の花谷は暮しのあるところ 遠花火果てて漁火残りけり 戦災の榧を遠目に若菜摘む さざ波の綺羅にも触れて松手入 煤竹を手に手に僧の散りゆけり
- 出版社
- ふらんす堂
- 発売日
- 2025-11-25
- ページ数
- 190ページ
- ISBN
- 9784781417882
