
熊楠研究 第19号
南方熊楠(1867〜1941)は博物学・民俗学・植物学における近代日本の先駆者的な研究者です。十数年にわたってアメリカ、イギリスを舞台に研究生活を送り、人文・自然科学にこだわらず森羅万象あらゆるものを記録するスタイルで研究を続けました。帰国後もイギリスの科学雑誌『ネイチャー』や『ノーツ・アンド・クエリーズ』に投稿を続け、また柳田国男らとともに神社合祀反対運動・自然保護活動に力を注いだほか、後に中村元や鶴見和子らに「南方マンダラ」と呼ばれた熊楠思想は独特な魅力にあふれ、熊楠を研究する人々は現在も増え続けています。 『熊楠研究』は熊楠に関係する未発表の論考を収める年1号発行の研究書で、熊楠研究の分野において最も権威のあるシリーズとして高く評価されています。 〈第19号 特長〉 ★特集「入監中の南方熊楠」1910年8月、紀伊教育会の集会に乱入した熊楠が逮捕・拘置されました。 武内善信「一九一〇年夏、田辺」 当時、天皇など皇室に危害を加えようとする「大逆事件」だとして、多くの社会主義者たちが逮捕され、死刑される人も出ました。熊楠とともに神社合祀反対運動を展開した牟婁新報社社主の毛利柴庵も家宅捜査を受けます。これらの事件との関連や、熊楠のそれまでの行動などから、熊楠逮捕の背景を論じています。 千本英史「紀伊委員会とその第二回夏季講習会」 熊楠は酒に酔ったあげく、乱入し、二週間にもおよぶ拘置を受けました。その舞台となった紀伊教育会とはどのような組織だったのか、検証します。また事件を報じた各地方紙の史料も参照して、熊楠の行動とはどういうものだったのかを、位置づけています。 野村さなえ、松居竜五、岩崎仁、岸本昌也「「入監中の手記」解説と翻刻」 入監した熊楠には無地のノートと鉛筆が与えられました。ふだんから日記をつけていた熊楠は、天気、面会者、差し入れられた物、読書、手紙の送受信、などの記録を英語混じりで記しています。また、入監時期とは異なる時期に画かれたと思われるキノコのスケッチなどもあります。この「入監中の手記」の全貌を、既発表のものは再検討し、未発表のものも含めた全体像をくわしく解説し、翻刻しています。 その他
- 出版社
- 南方熊楠顕彰会
- 発売日
- 2026-07-01
- ページ数
- 280ページ
- ISBN
- 9784902938692
