
熊楠研究 第16号
南方熊楠(1867〜1941)は博物学・民俗学・植物学における近代日本の先駆者的な研究者です。十数年にわたってアメリカ、イギリスを舞台に研究生活を送り、人文・自然科学にこだわらず森羅万象あらゆるものを記録するスタイルで研究を続けました。帰国後もイギリスの科学雑誌『ネイチャー』や『ノーツ・アンド・クエリーズ』に投稿を続け、また柳田国男らとともに神社合祀反対運動・自然保護活動に力を注いだほか、後に中村元や鶴見和子らに「南方マンダラ」と呼ばれた熊楠思想は独特な魅力にあふれ、熊楠を研究する人々は現在も増え続けています。 『熊楠研究』は熊楠に関係する未発表の論考を収める年1号発行の研究書で、熊楠研究の分野において最も権威のあるシリーズとして高く評価されています。 〈第16号 特長〉 ★武内善信「南方熊楠における神社合祀反対運動の終りと「十二支考」の始まり」 熊楠が雑誌『太陽』に掲載するため「十二支考」の準備をはじめたのは1913年11月8日とされている。そして、積極的に活動していた神社合祀反対運動の最大の課題だった大山神社の合祀が決定したのは前月の10月8日だった。このふたつのことの関連を検討しています。 ★小野有五「「苦界の正中(くがいのまんなか)」からの跳躍」 「ここが苦界の正中(まんなか)かいな」と熊楠が都々逸を詠んだアメリカ、アナーバー時代。その後アナーバーを出て、熱帯へ、ロンドンへと跳躍することになる熊楠の行動を説明しうる「卒点」ともいえるのは小野英二郎の存在であるとし、克明に論じていきます。 ★志村真幸「英文論考の草稿の研究」 熊楠は日本語による原稿執筆まえには「腹稿」とよばれる複雑な下書きを残しています。それに対して英文による論考の執筆まえには、「草稿」が約60点現存していますが、日本語の「腹稿」とはまったくかたちの異なるものです。熊楠の英文論考の執筆過程を示し、また、草稿と雑誌に掲載された完成版の翻刻を比較して、その位置づけを考えます。 その他
- 出版社
- 南方熊楠顕彰会
- 発売日
- 2026-07-01
- ページ数
- 258ページ
- ISBN
- 9784902938661
