
熊楠研究 第17号
南方熊楠(1867〜1941)は博物学・民俗学・植物学における近代日本の先駆者的な研究者です。十数年にわたってアメリカ、イギリスを舞台に研究生活を送り、人文・自然科学にこだわらず森羅万象あらゆるものを記録するスタイルで研究を続けました。帰国後もイギリスの科学雑誌『ネイチャー』や『ノーツ・アンド・クエリーズ』に投稿を続け、また柳田国男らとともに神社合祀反対運動・自然保護活動に力を注いだほか、後に中村元や鶴見和子らに「南方マンダラ」と呼ばれた熊楠思想は独特な魅力にあふれ、熊楠を研究する人々は現在も増え続けています。 『熊楠研究』は熊楠に関係する未発表の論考を収める年1号発行の研究書で、熊楠研究の分野において最も権威のあるシリーズとして高く評価されています。 〈第17号 特長〉 ★特集「南方熊楠と中国の古典籍」熊楠は幼少期から中国書籍を読んでいました。そして多くの中国書を所蔵し、著作に利用していました。 金文京「南方熊楠漢籍蔵書の特色」では漢籍の熊楠蔵書を「経・史・子・集」分類し、熊楠が利用した実態を調べ、また熊楠と同時代の著名な漢学者・内藤湖南の蔵書と比較します。 司志武「南方熊楠と類書・本草学書」では、熊楠が愛読しまた頻繁に引用している、中国本草学の最高峰『本草図譜』、類書(百科事典)『淵鑑類函』について解説し、熊楠諸論考における位置づけを検討します。 高 陽「南方熊楠と『大唐西域記』」 唐から天竺に赴き仏教経典をもちかえって漢訳した玄奘三蔵の見聞録としてよく知られている『大唐西域記』。熊楠が本書をいかに認識し、論考に生かしたのかを明らかにします。 池田宏「南方熊楠邸での漢籍調査に従事して」では、熊楠旧邸の書庫調査にあたっていた筆者が、調査の具体的な様子を報告します。 ★田村義也・松居竜五・志村真幸・プラダン ゴウランガ チャラン編「大英博物館所蔵 フランクスおよびリード宛て書簡」(資料紹介) 近年判明したことに、大英博物館所蔵文書の中に、熊楠による書簡や調査ノートが計12点含まれていることがあり、内容の調査が行われました。フランクスとリードは熊楠の在英を支えた大英博物館員です。新出の12点をふくめ、彼らと熊楠による通信の全貌を明らかにし、通信文を翻刻し、またその翻訳を掲載します。 その他
- 出版社
- 南方熊楠顕彰会
- 発売日
- 2026-07-01
- ページ数
- 280ページ
- ISBN
- 9784902938678
